福岡在住の骨董商で器コーディネーターの三嶋亜希子氏をお迎えし、骨董の器にイタリア家庭料理を盛りつけて、料理を味わいながら骨董を学んでしまおうという「骨董で楽しむイタリアン」。料理教室であり、骨董教室であり、実のところ宴会でもあるこの企画、10年ぶりの満を持しての開催でしたが二日とも満員御礼。半日たっぷり、楽しい時を過ごしました。

骨董をぐっと身近な存在にしてくれるのも、決しておしゃれなイタリア料理ではなく、イタリア各地のマンマ直伝の田舎料理だから。自然の恵みを大切にした素朴な味わいは、日本人が忘れかけている古き良き日本の原風景がある。どこか懐かしい優しさがある。だから、100年前の日本の食卓で活躍していた器たちにもしっくりくるのかもしれません。そして取っつきにくかった骨董の器に、ぽっと温かい息吹を吹き込んでくれるのです。

骨董の幅広い魅力をより引き出すために、料理は二日それぞれ違う内容のフルコースをご用意しました。その中から、いくつかピックアップして器の説明とともにご紹介します。

Penne alla zingaraジプシー風ペンネ

トマト缶、ツナ缶、黒オリーブ、生ハムまたはスペックさえあればできてしまう超簡単レシピ。生ハム以外は瓶詰め、缶詰だけで足りてしまうことを思うと、非常食パスタとも言えるかもしれませんが、急なお客様のおもてなしにもぴったりのマンマの技ありパスタです。

器:
明治 印判ねじり文 鉢
時代は比較的新しいものですが、人気のねじり文様で状態のいいものは、掘り出し物。真っ赤なトマトソースと濃い藍の対照的な色が、お互いを引き立て合います。

 

Tortelli di zuccaカボチャのトルテッリ

生パスタの生地を練るところから参加者全員で。小麦粉と卵だけしか使わない生地はエミリア・ロマーニャのマンマ式。カボチャのペーストを巻き込んだトルテッリはシンプルなセージバターで頂きます。
器:
手前  江戸後期 色絵 蓋付碗
手前  江戸後期 色絵八寸菊花文
左奥  江戸後期 唐草文 猪口 ・江戸後期 輪島塗 小皿
右奥  江戸後期 山水文 豆皿
トルテッリを盛った碗には、同じく色絵の八寸皿を受け皿として。時代が共通の色絵同士は、もともと揃いでなくてもセットとして使用できるので重宝します。すりおろしたパルミジャーノは蕎麦猪口に。輪島塗の小皿は茶托のようにして。珍しい長方形の豆皿は人数分用意し、パン用のオリーブオイルを入れました。

 

Pollo con uva若鶏のコニャックぶどう煮込み

バローロ、バルバレスコなど高級赤ワインの名産地、ピエモンテ州ランゲ丘陵のリストランテで習った田舎料理。コニャックに漬け込んだぶどうを使った大人の甘みがクセになる。鶏肉とは思えない濃厚な肉料理。
器:
江戸後期 染付楼閣山水文 大鉢
艶のある藍の染付と生地の色合いは、時代をしっかり裏付けるもの。深すぎず、浅すぎず、煮込み料理などに最適な鉢です。

 

Budino di Castagne小布施栗のプリン

せっせとむいた茹で栗を、さらにひたすら裏漉すという地道な作業を乗り越えて、日本随一のブランド和栗を惜しみなく使った、栗よりも濃厚な栗のプリン。家庭だからこそ実現できる贅沢ドルチェです。
器:
手前  江戸後期 輪花窓絵皿
左奥  江戸中期 草花文猪口
江戸後期 輪島塗 小皿
右奥  江戸後期 猪口
魚肉を酢に漬け込んで食べるという食文化の進歩から生まれたなます皿。深みのある形はプリンやジェラートのようなデザートにうってつけ。和栗という旬の和の素材にもぴったりです。カップッチーノは蕎麦猪口で。小皿に使用した黒い輪島とミルクのコントラスも生えます。

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ご参加いただいた方は、いつものリストランテ・リッツの料理教室のように、老若男女さまざま。でも骨董への情熱や好奇心はみなさんとっても旺盛で、とても充実した時間を過ごしました。今回は求めていた器と一生の出会いを果たし、お求めいただいた方も多くいらっしゃいました。イタリアのマンマの料理が、新しい出会いに一役買えたことを思うと、主催者としても嬉しい限り。次回は春の開催を予定しています。

 

Campanula Maya×Ristorante Ritz
花装飾カムパニュラ・マヤ主宰のマヤ先生と、コラボレッスン「秋の恵み」を開催しました。
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麦の穂を描くように綴じるサルデーニャ地方の名物手打ちパスタ「クルジョニス」にちなんで麦を使ったアレンジを制作。リースにもテーブル飾りにもなってクリスマスまで活躍しそう。料理の方は他に、余ったパスタ生地をガルガネッリにして「いろいろキノコと栗とエビのパスタGarganelli con funghi misti, gamberini e castagne」、メインは「コニャック漬けブドウと鶏肉の煮込みPollo con uva」、そしてドルチェは満を持して「栗のセミフレッドSemifredo di castagna」。麦つながり料理のつもりが、結局栗づくしに。Maya先生、来年はイガ栗を使ったアレンジをぜひ。笑。

Campanula Maya×Ristorante Ritz
花装飾カムパニュラ・マヤ主宰のマヤ先生と、コラボレッスン「ハロウィンを飾ろう、食べよう」を開催しました。

 

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カムパニュラ・マヤとリストランテ・リッツのレッスンコラボ~ハロウィンを飾ろう、食べよう~盛会御礼。マヤ先生の手にかかるとハロウィンの花装飾もぐっと上品に。料理も負けじと気合が入ります。Risotto di zuccaカボチャのリゾット、Stufato豚肉のピエモンテ風煮込み、Budino di zuccaカボチャのプリン。秋晴れの日差し込む中、一足早く大人のハロウィン・フェスタ、楽しいひと時を皆様ありがとうございました。

【Accademia in Cucina】11月9日(土) 11月10日(日)

アッカデミア・イン・クチーナ(=キッチンで芸磨き)と称して、
キッチンを舞台に、料理だけでなくいろんな芸を磨いでしまおうという企画。
11月は、「杜鵑(ほととぎす)」主宰・福岡在住の器コーディネーターで骨董商の
三嶋亜希子さんをお迎えして「和食器/骨董で楽しむイタリアン」。

九州といえば磁器や陶器、骨董の宝庫。
さらに福岡郊外の山里に一軒家を構える三嶋さんは、
山の草木や葉など自然のモチーフを利用した
テーブルコーディネートも得意としています。
今回も器だけでなく、草花や木の実まで九州から丸ごと持ち込んで、
イタリアの田舎料理を作り、そして食べながら
晩秋の自然の恵みあふれる三嶋流テーブルコーディネートを学びます。

ちなみに、気に入った器はちょっと裏を見て頂いて、お値段シールが貼ってあったら
そのままご購入、お持ち帰りいただける商品。
お料理にテーブルコーディネート、当日体得したものは
家に帰ってからまるごと再現できるというわけです。

ところで、なぜイタリアンに和食器?しかも骨董?と思うかもしれません。
でも、自分で言うのもなんですが、うちのイタリア料理は、なぜか和に合うのです。
常々私が大事にしているのは、イタリア各地のマンマたちに習った愛情いっぱいの料理を、
四季の自然の恵みあふれる味わいを、そのまんま再現して皆さんにお伝えすること。
そこには、私たち日本人が忘れかけていた古き良き日本の原風景と同じ匂いがあります。
どこか懐かしい優しさと大らかさがあります。
だから、和の器に盛りつけてもしっくりくる。
そして、イタリアの日本、二つの国の文化や美意識の意外な共通点を感じるはずです。

イタリアの田舎料理と、日本の器との心地よい組み合わせを
心行くまでお楽しみください。

①11月9日(土)「和食器で楽しむイタリアン」
場所:リストランテ・リッツ(拙宅)
時間:15:00~(終了予定18:30)
会費:5.000円(料理の材料費、飲食代込み)
テーマ:伝統的なものから現代作家のものまで、幅広い和食器にイタリア料理を盛りつけ、
テーブルコーディネートを学びながらイタリアンのフルコースを頂きます。
磁器、陶器からガラスまで和食器の魅力を楽しめます。
→ご要望の声にお応えして骨董も取り入れることになりました。

②11月10日(日)「骨董で楽しむイタリアン」
場所:リストランテ・リッツ(拙宅)
時間:11:00~(終了予定15:00)
会費:5.000円(料理の材料費、飲食代込み)
テーマ:磁器から漆まで、日本各地の骨董にイタリア料理を盛りつけ、
テーブルコーディネートを学びながらイタリアンのフルコースを頂きます。
骨董に接するのが初めての方も安心して骨董のいろはを初歩から学べます。

お申し込みはいずれも当ホームページcontattiフォームにて。
ご質問もお気軽にどうぞ。

 

 

【Accademia in Cucina】10/13(日)・10/30(水)
アッカデミア・イン・クチーナ(=キッチンで芸磨き)と称して、
キッチンを舞台に、料理だけでなく、いろんな芸を磨いてしまおうという企画。実に6年ぶりの開催です。
今回も花装飾家で「カムパニュラ・マヤ」主催の廣田麻弥さんをお迎えして、フラワーアレンジメントのレッスン。
異なるテーマで二回(10/13・10/30)開催します。
各回とも、作った作品はもちろんお持ち帰り頂けるほか、料理もすべてその場でいただきます。
作って、食べて、作って、愛でて、そして喋って…キッチンでの充実のひと時をお楽しみください。
   ※二回セットではありません。個別ごとに募集しています.

①10月13日(日) 「ハロウィンを飾ろう、食べよう」

 

 

 

 

場所:リストランテ・リッツ(拙宅)
時間: 11:00~(終了予定15:00)
会費: 8.000円(アレンジメント・料理の材料費、飲食代込み)
内容: 廣田麻弥さんからカボチャをあしらったアレンジメントを習います。
   料理はカボチャのリゾット、カボチャのドルチェ、他に肉料理を予定しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

②10月30日(水) 「晩秋の恵み」

 

 

 

 

 

 

 

 

場所:リストランテ・リッツ(拙宅)
時間: 11:00~(終了予定15:00)
会費: 8.000円(アレンジメント・料理の材料費、飲食代込み)
内容: 廣田麻弥さんから、小麦をあしらった晩秋のアレンジを習います。
    落ち着いた色調でまとめる壁掛けスタイルの飾りはクリスマスのリースとしても。
    料理は、手打ちパスタを麦の穂を描くように綴じていくサルデーニャの詰め物パスタ他、
    秋の恵みを存分に感じる料理を予定しています。

 

 

 

 

 

 

 

 
持ち物など、詳細はお申込み後に別途お知らせいたします。

参加申し込みは当ホームページcontattiメールフォームにて。ご質問もお気軽にどうぞ。

 

 

 

 

 

 

 

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日伊協会にておなじみPiatti岡田さんとのコラボレーション企画。今回は、生ハム。知られているようで意外と知られていない生ハムのいろは、今更聞けない基本的なことまで、岡田さんの話が聞ける貴重な機会。その場でスライスしながら部位ごとに違った味わいを堪能したあとは、膝下の筋張った部位はミンチしてお料理に使えますよってことで郷土料理トルテッリーニの試食30人分を担当しました。丸ごと生ハムを食べ尽くすセミナー、そうそうないと思います。あっという間に定員になってしまったらしいので、またやってほしいな。って、すっかりお客さん的発言。

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