2003年初夏、憧れの骨董の器でイタリア料理を食べてしまおうという試み、その第一回を拙宅にて二日続けて開催しました。
福岡在住の骨董収集家、三嶋亜希子さん発案による骨董とイタリアンの初のコラボレーション。
九州育ちの三嶋さんが十代の頃から長年かけて集めた古伊万里や古唐津、あるいは明治後期の染め付けや漆器など、味わい深い年代物の器たちに、イタリアの家庭料理を盛りつけて、フルコースでご提供。普段なかなか手が出ない、あるいは素敵だなと思っていてもとっつきにくい、そんな骨董の世界もイタリア料理を介せば、俄然、身近で使いやすい器になります。
また、当日は、三嶋さんがわざわざ博多郊外のご実家から取り寄せた、ご実家の裏山に生える野の草木も、器周りやテーブル周りに情緒を加えました。着席スタイルで、アンティパスト、プリモ、セコンド、そしてドルチェと楽しみながら、それぞれにおいて三嶋さんならではの器選びとテーブルコーディネートのセンスが学べる上、今まで敷居の高かった骨董に関する基本的な質問が、料理を食べながら気軽にできます。使用した器はもちろんすべて売り物。その場で気に入った器があれば、当日そのままお買いあげ頂けます。
一つ160,000円の超一級品の古伊万里の鉢から一客3,000円のそば猪口まで、うれしいラインナップ。もちろん、どれもこれも巷の骨董屋では実現できない、三嶋さんならではの良心的な価格設定です。第一回のこの日も、一客16,000円の古伊万里の深皿や、一客8,000円のそば猪口など、参加者の懐具合やライフスタイルに合わせて、多くの器が即日完売。
そば猪口で納豆を和えるもよし、晩酌するもよし、深皿でプリンを食べるもよし、皆さん、それぞれの思いを胸に、大事大事に器を抱えて家路につきました。
お互い、仕事に子育てにと慌ただしい毎日を送る三嶋さんと私ですが、またぜひ開催したいと思います。