11月後半、2週末連続で、日伊協会の食文化セミナーにて「トルテッリーニ・イン・ブロードと冬のおもてなし料理」を担当。といっても会場は日伊協会のおはからい拙宅ristorante-ritz。

トルテッリーニは、私が仕事を放りだしてまでイタリアへ料理修業に行ってしまうきっかけになった、エミリア・ロマーニャ州の名物料理。中でも、肉から丁寧にダシを取った黄金色のスープで食べる「トルテッリーニ イン ブロード」は冬に欠かせない一皿として老若男女に愛され続けるパスタ料理です。
いつもの料理教室の要領で行えるとはいえ、応募者が定員割れでもしたら日伊協会に申し訳ない、と不安な気持ちでいっぱいでしたが、おかげさまでたくさんの方がお申し込みくださり、当初は一日だけの開催の予定が、結局、増設して3日間設けることに。 

根っからイタリア好きな人たちは、初対面同士でもどんどん話が弾む。パスタを練るところから始まって、うすく伸ばしたあとも、4センチ四方の正方形にきりわけた生地に具を小さく巻き込んでいく作業がひたすらつづくトルテッリーニには、みんながひとつのテーブルを囲み一つになることもそうだし、手を動かしながら延々と口も動かしたくなるという、不思議な作用があるものです。

トルテッリーニづくりとおしゃべりに集中しているその間、ガス台では、蛍火にかけっぱなしでOKの肉料理「ピエモンテ風ストゥファート」が、オーブンではボローニャ風パンナコッタが、一人で勝手に出来上がって行く。いずれも、手間もかからず見た目も華やかという、おもてなしには持ってこいの料理を選びました。

トルテッリーニをはじめ、日本のイタリア料理店では滅多に食べられない北イタリアの伝統料理は、同じくエミリア・ロマーニャ州の名産である発泡性赤ワイン「ランブルスコ」とともに、皆様にご満足いただけたようで、ほっとすると同時に、いろいろな方との出会いを果たしてくれた、日伊協会にも改めて感謝です。